そこは、広い場所でした。
とてもとても・・・たとえることばがないくらい広い場所でした。
そこはたとえることばがないくらいにたくさんの星がうかんでいる場所でした。
赤や青、みどりや黄色、たくさんの色で光っている星がたくさんうかんでいる場所でした。
そう、人によっては「宇宙」とよんでいる場所です。
そしてこれは、そんな宇宙にうかぶ一つの星でのことです。
仮説雑貨商4周年到達記念
Beginning Day
その日は明るい光でいっぱいでした。
青い色がいちめんに広がっていました。
白くやわらかそうな雲がいろんな形になりながら流れていました。
そして、そんな空の下でたくさんのこどもたちがあそんでいました。
空にまけないくらいにいっぱいに広がった地面の上であそんでいました。
空にまけないくらいに青い色をかがやかせた川や海であそんでいました。
空とつながっているかのように広い草原でこどもたちが走っていました。
草でいろいろなものを作り、そのたびごとに笑い声があがっていました。
水をかけあい、魚やいろいろな生き物をおいかけたりしてあそんでいました。
大きな木がたくさんはえた森の中に笑い声がひびいていました。
時には泣き声がきこえることもありましたが、すぐに笑い声にかわりました。
こどもたちはとても楽しそうでした。
眠くなれば草のベッドと木かげの毛布でねむっていました。
おなかがすけば甘いくだものをほおばり、花のみつをおいしそうにのんでいました。
そして・・・なんといっても楽しそうにあそんでいました。
こどもたちいがいの生き物もたのしそうでした。
大きなどうぶつの背にのってあそんでいるこどももいました。
色とりどりの大きな鳥の背にのって空をとんでいるこどももいまいました。
だれもこわがってはいませんでした。
<くるしみ>や<かなしみ>といっしょでそんなものはここにはありません。
・・・どうしてですって?
ふふ、だってここではそうなんですから。
人によっては<楽園>とよぶここではそうなんですから・・・
そんなこどもたちを丘の上から見ているものたちがいました。
それはこどもたちにくらべればずっと少ない・・・おおぜいのおとなたちでした。
「・・・これで良かったのか?」
「これで良かった。」
「今まで築いてきたことは無駄になったのか。」
「無駄ではない。間違っていたのだ。」
「それを認めたくないが故に後回しにしてきた。」
「我々の始祖が危険を冒して手に入れた物が間違っていたのか。」
「物ではない。使い方が間違っていた。」
「なるほど、使い方か・・・確かにそうかも知れん。」
「ではなぜもっと早くこうしなかったのだ。いつでも誰でも本当はこうすることが出来たのに。」
「我々の父母、そして脈々の紡ぎで気付いたのが我々だったからだ。」
おとなたちは口々になにかを話していました。
男の人だったり女の人だったり大きかったり小さかったり・・・
でも、こどもたちをとてもやさしい目で見ているおとなたちでした。
「さて、では続きをやるとするか。」
ひとりのおとながそういいました。
「では私は・・・山になろう。」
「では私は・・・波になろう。」
「では私は・・・雲になろう」
「では私は・・・森になろう。」
「では私は・・・恐竜になろう。子供達を乗せ大地を共に駆ける程大きな恐竜に。」
「では私は・・・夢になろう。震える夜を共に過ごし楽しみを与える夢に。」
「では私は・・・星になろう。夜空を照らし、世界に闇が無いように。」
「では私は・・・」
そうしておとなたちはみんな思い思いのすがたになって世界をみたしました。
だれも「かなしみ」になりませんでした。
だれも「にくしみ」になりませんでした。
そしておとなたちはみんないなくなりました。
いえ、いなくなったのではありませんでしたね。
だって、おとなたちはこの星のすべてのいちぶになってそばにいるんですから。
「ぼくたちもなろう。」
やすらぎとめぐみがいっぱいのせかいでひとりのこどもがそういいました。
さいしょ、そのこえはひとつでした。
「わたしもなろう。」
「ぼくも。」
「わたしも。」
「ぼくも。」
「わたしも。」
でも、いつのまにかそのこえはぜんぶのこどもと同じかずだけになりました。
「なんになるの?」
だれかがそんなことばをはなしました。
そうしたらほかのこどもたちはみんないっせいに同じことばをはなしました。
「きまってるさ。」
「そう、きまっているわ。」
「そうだね、きまってるね。」
「そうそう、きまってるわよね。」
そしてそのことばどおりにこどもたちはやがてそうなりました。
でもおとなたちとちがってすぐにはなりませんでした。
どうしてですかって?
だって・・・こどもたちがなったのは大人なんですから。
星が浮かんでいた。
宇宙の片隅に浮かんでいた。
そうして宇宙に人が人として生きる世界を乗せた星が天空に又一つ浮かんだ。
溢れる光と命の風に満ちていた。
いつまでも瞬いていた。
それはどこかの星でのことでした。
そしてずうっとむかし、「地球」とよばれていた星のことでした。
This novel writes that it got an image more than the song of "HAJIME-NO-HI"